ブドウ畑の空に乾杯

small but mighty

デューク・エリントン・オーケストラがやってきたので聴きに行った.

ダウンタウンのワーナーズ劇場. 映画会社のワーナーとは綴りが違うのでおそらく関係なさそう.
建設から76年経った今は老朽化が激しい.

しかし古びてはいても、ここは私がこの街で一番貴重だと思う劇場空間だ.
四角さを感じさせない箱が私は好きなのだ.
丸天井、バルコニー、仮面の彫刻...
地下へと続く階段が何とも妖しげで、そのまま降りてここに住んでしまおうかと思った.
カーテンの赤は色あせているがそこに赤い照明を重ねて、
ビロード生地に施された美しい模様を美しく見せる工夫がなされている.
設備は古くて今の人間には使いにくいところもあるけれど、
劇場には歴史と神々しさが必要だ. (と私は思っている)

さあ写真を撮ろうとカメラを取り出すも...メモリーカード忘れたー.
がっくし. 今度また来て撮ろう.

ここフレズノという街は全体に広がりすぎていて、区域によって雰囲気が大きく変わる.
北の方は富裕層の住処、州立大学のある中心部、
そして南側にあるダウンタウンの治安はあまりよくない.
「あまり」というのはギャング同士の争いで誰かが銃で撃たれたり、
ホームレスの方々がうろついてお金を求めてきたり、という程度のこと.
なので夜は特に行きたがらない人が多い.

街は何度かダウンタウンの再建を試みた(たぶん今でも試みている)ようだが、なかなかうまく行っていない.

ところで最近そう頻繁には銃声を聞いていないように思う.
ブッシュ前大統領の任期満了が近づくにつれて銃声も少なくなっていったような...気のせいか?

ともかく、今回の興行は場所の悪さに加えて宣伝も行き渡らなかったようで、客席は一階席のみの使用.
それでもガラガラ. 2000人以上入る劇場でたぶん150人くらいしか埋まっていなかった.
黒人のお客さんがとても少なかった. 大部分が白人の高齢者. 若い人も少しは見ましたが.
チケットはたしか40ドル、30ドル、25ドルの3種類.

お客さん全然入ってないので気の毒だなあ、どうなるんだろうと思っていたけど
少ない観客はみんな大盛り上がり. 歓声と拍手で大絶賛!
演ってるほうも気持ちよくなったみたいで、すっごいものを聴かせてくれた!
こんなにサービスしていいのか? と思うほどの超絶アドリブの数々.
私は前から3列目に座ったのだが、指揮者も高揚しているのが見てとれた.
勝手にソロピアノ弾き出すし、気分でどんどん曲目を替えてしまって、
メンバーはみんな楽譜の入れ替えを大慌てでやったりして客はクスクス笑った.

最後に、少ないけれど素晴らしいお客さんでした、ありがとう! また来ます! と言って終わった.
観客は総立ち. エンディングを演奏しながらカーテンが閉まっていくというカッコよさ.

いやはや、これは一生の思い出になるコンサートを聴いてしまった気分.
ビッグバンドもいいもんだ!

もちろんこのお楽しみは化学のテスト勉強の合間にやっておるわけであります.
近頃の私は何を見てもワインのことにつなげて考えてしまうのだけど、
それが好きで好きでしかたない気持ちを基に何かをつくって、その結果誰かに楽しんでもらうことで
さらにいいものを生み出すというのは本当にステキなことだなあと思った.
そしてその喜びを知ってしまうと、お金をもらえようがもらえまいが身体は動き続けるのだと思う.

音楽もワインも、流れるものを時間に乗せてかたち作ってみせるという点では似ているのかもしれない.
造る人間も必要だし、飲んでくれる人間も必要だし、みんなでつくってるんですよね.
一人ひとりのレベルを高く保った上でまとまるというのは、大変だけど価値のあることだな.
苦しいこともあるけれど、自分のつくるものも、一緒につくる人たちも、自分のつくるものを飲む人たちも大切にしていこう.



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by saitomy | 2009-03-14 03:00 | ワイン・ブドウ アメリカ編
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