ブドウ畑の空に乾杯

種も仕掛けもあるけど

c0129024_11255555.jpg


写真はある日のラボ.ワインの中のカルシウムやナトリウムの量を調べてるところ.
使ってるのはAtomic Absorption Spectrophotometer という機械.



今、ワイナリーでは、去年誰かが間違えてシャルドネにシラーを混ぜ込んでしまった
失敗ワイン(こちらの記事参照)
やむを得ず安価なロゼとして売ろうとしている.
長いことタンクに入れっぱなしになっていたので、
滓がたくさんあるだろうということで、
まずは滓引きをして味見すると
汚れた臭い...香りも閉じてて全然好きになれない.

醸造家ジョンに「どう?」と聞かれて
「臭いです.これじゃボトルを開けた瞬間に幻滅されます」と答える.

少量を遠心分離機にかけてみたら少しだけましになったけどまだダメ.
ではどうするかというと、ほんのちょっと銅を加えるのです.
0.1~0.3ppmくらいの量加えたサンプルをいくつか作ってみる.
私は0.1ppmで十分じゃないかと言ったのだけど、
ジョンは0.3ppm加えようと言った.タンクに入れて窒素ガスを使って混ぜる.
そしてSO2のレベルも異常なほど低かったので加える.

で、ワインをテイスティングしてみたら
臭みは消えた.でもいい香りもほとんど消えた.
ブドウ風味の水みたいになってしまった.
うーん.どうしたらいいんだろう.
もうすこし時間が経てばまた状態が変わるだろうか.
変わるかもしれない.
何か他のワインとブレンドしたらいいかもしれない.

品質の低いワインを、なんとか売り物にできる状態に持っていくトリックはたくさんある.
もちろんすべて合法的にやっているし、捨てて無駄にするのも嫌だし、
そうやって出来た製品を好きで喜んで買ってくれる人たちもいる.
いろんな価格帯の製品があることは悪いことではないのかもしれない.

でもほんとにやりたいのはこんなことじゃなくて
あらゆる細かな工程に気を配って、原料のブドウ、果汁、
そしてワイン、すべてを大切に扱うことなんだけどな.

質を落としてしまってからあれこれ細工をしなくても、
ワイナリーで働く人が施設や用具を清潔に保ったり、
正確に仕事をしようとするだけでいろんなリスクは減るし、
ワインの質ってかなり上がると思う.

たったそれだけのことなんだけど、
心からワインのことを好きな人じゃないと出来ないことだし、
常に自分のやっていることを振り返ったり、確認したり、
客観的に評価したりしていないと、手を抜くことなんてそれ以上に簡単.


今日の一連の出来事になんだかあまりいい気分にはなれなかったし、すごく疲れて
家に帰ってターキーミートローフを食べてバタリ、とベッドに倒れこんだ.
しばらくして起きたら今が何月何日の何時なのかまったくわからなくてちょっと混乱しました.

週末はレポートとテスト勉強と、ラボの写真整理で過ごす予定.
息抜きはギターとジムとラジオかな.
最近ゆっくり本を読んでいない.早く今学期が終わらないかなあ.

by saitomy | 2008-04-25 03:00 | ワイン・ブドウ アメリカ編
<< おにぎり処 今日のブドウ畑 >>