ブドウ畑の空に乾杯

優しく力強く

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少し分かってきたことがある.
醸造家ジョンはブドウやワインをアグレッシブに扱うこともある、ということ.
彼の性格がせっかちで何でも早く終わらせたがることも関係あるかもしれないし、
学生がたくさん出入りしている授業中は細かなことまで構っていられないせいもあると思う.
機材も完璧にそろっているわけでなし、ここにあるものをどうにか利用してワインを作らざるを得ないこともある.
運ばれてくるブドウの多くが地元の栽培者からの寄付だということもあって、
お金を払っていないからあまりうるさく注文をつけられない、という弱みもある.

私個人の思いとしては、もうすこしワインを優しく扱いたいのだ.
ジャバジャバとグラスに注がれたワインと、そっと優雅に注がれたワインは
同じボトルでも少し違った味や香りがするだろう.
それは製造工程においても同じことなのではないだろうか.

たとえば、一次発酵終了間近のワインをストレーナーを通して動かすことをせず、
プレス機もしくはタンクに直接送り込んではどうか.
澱引きのときも、もうすこし速度を落として確実に澱の除去を出来るようにしてはどうか.
加えるSO2の量は、もう少し少なくてもいいのではないか.
イーストを添加するときの栄養剤は本当に必要だろうか. DAPも加えているのに.
白ぶどうのブラウニングをやってみたい. このワイナリーではやっていないけれど.
黒ぶどうは全部除梗してしわまずに、30%くらいは房ごと潰して発酵させてみたい.
ドローダウンももう少しやった方がワインの質が上がるのではないか.
それ用の小さなタンクが足りないので仕方ないけど.
ワインを入れる樽やタンクをもっと小まめにスパージしたい. アルゴンは高いのでせめてCO2で.


醸造家ジョンは素晴らしい人でとても尊敬しているし、彼のインターンになれたことはとても幸せ.
知識も経験も私など比べ物にならないほど多い.
何かアイディアを思いついたときは率直に伝えているし、耳を傾けてくれることにとても感謝している.
彼には彼のやり方がある. 今は彼のやり方を全て覚えておこう.

世界のあちこちでいろんな人がいろんなやり方でワインを作っている.
これからじっくりと世界を見て回って、いつか自分なりの作り方を見つけることもできるだろうか.
日ごとにワインのことが好きなんだと気づかされていて、
しかしそれってなぜかとてもセンチメンタルなことで、私には他にもたくさん愛するものがあるのに
それらから遠ざかってどこか引き返せない道に踏み込んでいくようで、ちょっと怖いし泣きたい.

ギターよ、写真よ、映画よ、小説よ.
間違いなく愛している、絶対に君たちのことを忘れはしないよ!

by saitomy | 2008-09-17 03:00 | ワイン・ブドウ アメリカ編
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