ブドウ畑の空に乾杯

樽詰め

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この間写真を撮り忘れたので改めて載せます.
タンクから樽にワインを移す作業です.
懐中電灯で照らしているのは、ワイン表面の高さを確認するため.
(人によってはワインが流れる音でだいたいの内容量が分かるらしいのですが、
うちのワイナリーでは音楽がかかっているので目で見て判断します.)

注ぎ口の上限ギリギリまで詰めます.
安全面での注意は、樽の両側の丸い平面部分
(樽を立てて置いた場合の蓋と底になる部分なんですけど.
これ、日本語でなんと言うんですか?
知っている人がいたら教えてください.)
追記:鏡板、というらしいです.なるほど~、そういやそうだよな~.
英語ではheadとかbarrelheadなんて呼んでます.

の横に立って作業しないようにすることかな.

というのも、ごくまれにですが、ワインの圧力でその鏡板がふっとびます.
気をつけてください.「黒ひげ危機一発」並みの威力です.

でも別に難しいことは一つもありません.
いっぱいになったらポンプを止めて、バルブを閉めて、
ワインをなるべく無駄にしないように気をつけながらまた次の樽を
満タンにする...この繰り返しです.

樽詰めしているとき、樽の小さな穴から木とワインの香りが立ち上ってきます.
これを感じられるのはワイン造りという仕事における特権かもしれません.
これね、ほんとにみんなに嗅いでみてほしい!と思うくらいいい香りなんです.
顔全体にあたるんだよ、ワインの風が!
だから樽詰めしてるときってフワーッとリラックスしてしまう.(私だけかな?)

詰め終わったら栓をして、木づちでたたいてしっかり閉めます.
その後、樽の外側を水で流してきれいにします.
(こぼれたワインがついていると雑菌が繁殖するので)

今は樽を使わなくても、オークチップやパウダーやキューブで
ワインに樽の香りをつけることも出来ます.
どのようなワインを造りたいか、またワイナリーの予算や時間の都合によって
選択肢はたくさんあります.
一般的に、樽を買うまたは作るのは、
チップなどの代替品を使うよりずっと高くつきます.
大学のワイナリーで使っている樽は、全て地元企業からの寄付です.

私自身は家で個人的に造っているワインには
オークチップ(アメリカンオーク)を
使っていますが、本当は樽熟成させるのが好きです.
樽の中でじっくりと時間をかけて香りがついていくのは、
なかなかおもしろい過程だと思います.香りのつき方も強烈すぎなくていいし.
しかも、焼き具合の違う樽でそれぞれ熟成したワインを最後ブレンドして
バランスと深みのあるワインができたらどんなにすばらしいだろう、と思います.

by saitomy | 2007-11-07 03:00 | ワイン・ブドウ アメリカ編
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